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研究まとめ

AIと仕事の研究を、日本語で正確に読み解く

論文・国際機関・調査レポートの結論と限界を、原典へのリンク付きで整理します。

各数値は、それぞれの研究の前提のもとでの推計です。特定の仕事や資格の将来を保証するものではありません。

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読み方のポイント

なぜ「AIで仕事が減る割合」は研究で割れるのか

大きな理由のひとつが「数え方の違い」です。職業をまるごと1単位として「この仕事は自動化されるか」を見る職業ベースの推計は、リスクを高めに見積もる傾向があります。一方、ひとつの仕事を細かな作業(タスク)に分け、「どの作業が影響を受けるか」を見るタスクベースの推計では、数字が小さくなりがちです。同じ「自動化リスク」でも、前提が違えば結論は変わります。

職業ベースの推計

職業まるごとを単位に評価する手法。自動化リスクを高めに見積もる傾向があるとされます(例:Frey・Osborne 2013)。

タスクベースの推計

仕事を細かな作業に分けて評価する手法。職業ベースより数字が小さくなる傾向があります(例:OECD 2016)。

数字で見ると:同じ「高い自動化リスク」でも、測り方でここまで違う

米国・OECD諸国を対象にした「自動化リスクが高い仕事の割合」。同じテーマでも、評価の手法が違うだけで結果は約5倍ひらきます。

いずれも「自動化リスクが高い」とされた仕事の割合の推計。職業ベースは職業まるごと、タスクベースは作業単位で評価しており、前提が異なります。

研究一覧

主要な研究・調査(発表の新しい順)

2026Anthropic

Labor market impacts of AI: A new measure and early evidence

AnthropicがClaudeの実利用データと、タスクが理論上どこまでAIで実行可能かを組み合わせて「タスク単位のAI露出度(Observed Exposure)」を測った研究です。露出が高いのは画面内で完結する定型タスク(プログラミングやデータ入力など)で、調理・整備・対面が必要な仕事などは露出が低いとされています。一方で、露出が高い職でも2022年後半以降に体系的な失業の増加は確認されておらず、将来の雇用予測ではなく現時点の測定である点に留保があります。

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2025スタンフォード大学 デジタル経済ラボ(Brynjolfsson, Chandar, Chen)

Canaries in the Coal Mine? Six Facts about the Recent Employment Effects of Artificial Intelligence

スタンフォード大学の研究者らが、米国の大手給与計算データ(ADP)を使い、生成AIの普及後に実際に起きた雇用変化を分析した実証研究です。AIの露出度が高い職業の若手(22〜25歳)では、生成AIの普及後に雇用が相対的に約16%減少した一方、経験のある労働者や露出の低い職業では雇用は安定または増加したとしました。将来予測ではなく、すでに観測されたデータである点が特徴です。

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2025世界経済フォーラム(World Economic Forum)

The Future of Jobs Report 2025

世界経済フォーラムが、世界の1,000社超の雇用主への調査をもとに2030年までの雇用の見通しをまとめた報告書です。技術革新・経済・人口・グリーン化の影響で、2030年までに世界で約1億7,000万件の新しい仕事が生まれる一方、約9,200万件が失われ、差し引き約7,800万件の純増になると予測しました。AIやデータの技術職に加え、ケア・教育・現場系の仕事も伸びるとしています。

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2024IMF(国際通貨基金)

Gen-AI: Artificial Intelligence and the Future of Work(IMF Staff Discussion Note SDN/2024/001)

IMF(国際通貨基金)が、AIが世界の雇用に与える影響を分析したスタッフ討議ノートです。世界の雇用の約40%がAIの影響にさらされ、先進国では約60%に達すると推計しました。先進国では影響を受ける職の約半分は生産性向上の恩恵を受けうる一方、残り半分は代替のリスクにさらされうるとし、影響は国の発展段階で異なるとしています。

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2023ILO(国際労働機関)

Generative AI and jobs: A global analysis of potential effects on job quantity and quality(ILO Working Paper 96)

国際労働機関(ILO)が、生成AIが世界の仕事に与える影響を分析した研究です。生成AIの主な効果は仕事を『置き換える』ことよりも『補強する(augment)』ことだとし、完全に自動化されやすいのは事務職が中心だとしました。事務職は女性比率が高いため影響にはジェンダー差があり、高所得国ほど露出が大きいとされています。

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2023ゴールドマン・サックス

The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growth

ゴールドマン・サックスが、生成AIが経済成長と雇用に与える影響を分析したレポートです。生成AIにより、世界で3億人分のフルタイム雇用に相当する作業が自動化にさらされうるとしました。一方で、多くの仕事は代替よりも補完される可能性が高く、生産性向上を通じて世界のGDPを約7%押し上げうるとしています。

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2023Eloundou ら(OpenAI ほか)

GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact Potential of Large Language Models

OpenAIの研究者らが、大規模言語モデル(LLM)が米国の労働市場の各タスクにどの程度影響しうるかを推計した研究です。米国の労働力の約80%が、少なくとも仕事のタスクの10%でLLMの影響を受けうるとし、約19%は少なくともタスクの50%が影響を受けうるとしました。現場・身体作業よりも、文章作成やプログラミングなど画面内の知的作業ほど影響(露出)が大きい傾向が示されています。

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2017マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)

Jobs lost, jobs gained: Workforce transitions in a time of automation

マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が、自動化が2030年までの世界の雇用に与える影響を分析したレポートです。自動化の進み方によっては、2030年までに世界で最大3億7,500万人(労働力の約14%)が職業の種類を変える必要が生じうるとしました。一方で、技術は新しい仕事も生み出すため、総雇用は維持されうるとしています。

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2016OECD(Arntz, Gregory, Zierahn)

The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries(OECD Working Paper No. 189)

OECDの研究者(Arntz, Gregory, Zierahn)が、Frey・Osborneの職業ベースの手法を見直し、同じ職業でも人によって担当タスクが異なる点を考慮した『タスクベース』で自動化リスクを推計した研究です。その結果、21のOECD加盟国平均で、自動化リスクが高い仕事は約9%にとどまるとし、職業ベースの推計(約47%)は過大評価だと指摘しました。

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2015野村総合研究所(オックスフォード大学 Osborne・Frey との共同研究)

日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

野村総合研究所がオックスフォード大学のOsborne准教授・Frey博士と共同で、日本国内601種類の職業について人工知能やロボット等による代替可能性を試算した研究です。10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就く職業で技術的に代替が可能になりうるとしました。一方、創造性や協調性、非定型の対人業務が必要な職業は代替されにくいとされています。

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2013オックスフォード大学(オックスフォード・マーティンスクール)

The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation?

オックスフォード大学のCarl Benedikt FreyとMichael A. Osborneが、米国の702の職業について「コンピューター化されやすさ」を機械学習で推計した研究です。その結果、米国の総雇用の約47%が今後コンピューター化の高いリスクに分類されるとしました。職業をまるごと評価する『職業ベース』の手法で、後年のタスク単位の研究としばしば対比されます。

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ひと目で比較

研究ごとの主な推計

モバイルでは横にスクロールできます。数値は各研究の前提のもとでの推計です。

発行年発行者・研究主な推計
2026Labor market impacts of AI: A new measure and early evidenceAnthropicAnthropicの分析では、労働者の約30%は現時点でAIによるタスク露出がゼロとされる。
2025Canaries in the Coal Mine? Six Facts about the Recent Employment Effects of Artificial Intelligenceスタンフォード大学 デジタル経済ラボ(Brynjolfsson, Chandar, Chen)AIの露出度が高い職業の若手(22〜25歳)で、生成AIの普及後に雇用が相対的に約16%減少したと観測された(企業固有の要因を考慮しても)。
2025The Future of Jobs Report 2025世界経済フォーラム(World Economic Forum)2030年までに、世界で約1億7,000万件の新しい仕事が生まれ、約9,200万件が失われ、差し引き約7,800万件の純増になると予測された。
2024Gen-AI: Artificial Intelligence and the Future of Work(IMF Staff Discussion Note SDN/2024/001)IMF(国際通貨基金)世界の雇用の約40%がAIの影響にさらされ、先進国では約60%に達すると推計された。
2023Generative AI and jobs: A global analysis of potential effects on job quantity and quality(ILO Working Paper 96)ILO(国際労働機関)生成AIの最も大きな効果は、仕事を自動化して置き換えることよりも、業務の一部を担って人を補強する(augment)ことだとされた。
2023The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growthゴールドマン・サックス生成AIにより、世界で約3億人分のフルタイム雇用に相当する作業が自動化にさらされうると推計された。
2023GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact Potential of Large Language ModelsEloundou ら(OpenAI ほか)米国の労働力の約80%が、少なくとも仕事のタスクの10%でLLMの影響を受けうると推計された。
2017Jobs lost, jobs gained: Workforce transitions in a time of automationマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)2030年までに、世界で最大3億7,500万人(労働力の約14%)が職業カテゴリの転換を迫られる可能性があると推計された。
2016The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries(OECD Working Paper No. 189)OECD(Arntz, Gregory, Zierahn)タスクベースの手法では、21のOECD加盟国平均で自動化リスクが高い仕事は約9%と推計された。
2015日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に野村総合研究所(オックスフォード大学 Osborne・Frey との共同研究)10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業について、技術的には人工知能やロボット等で代替が可能になりうると試算された。
2013The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation?オックスフォード大学(オックスフォード・マーティンスクール)米国の総雇用の約47%が、コンピューター化の高リスク(high risk)に分類されると推計された。

このページの内容を引用するときは

各研究は一次情報を確認し、中立的に要約しています。内容を引用・参照される場合は、できるだけ各研究の原典(各ページのリンク先)もあわせてご確認ください。数値は研究ごとに前提が異なるため、出典と前提を明記したうえでご利用いただくことをおすすめします。

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