2030年までに 3.75億人が 「職種を 変える」? |マッキンゼーの 研究を 読み解く
「2030年までに3.75億人が仕事を失う」と誤解されがちなマッキンゼーの研究。実際は「職種を変える可能性」であり、喪失と創出の両面を示しています。数字の正しい読み方を煽らず中立に解説します。
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この記事でわかること
- マッキンゼー(2017)の推計では、自動化の進み方によっては、2030年までに世界で最大3億7,500万人(労働力の約14%)が、職業の種類を変える必要が生じうるとされています。
- 「職種を変える」ことと「失業する」ことは別です。3億7,500万人は職種を変える可能性のある人数であって、失業者数ではありません。
- 自動化で一部の仕事は失われるものの、技術は新しい仕事も生み出すため、総雇用は維持されうるとされています(喪失と創出の両面)。
- 数字の大きさに振り回されるより、「自分の仕事のどの作業が自動化され、どんな仕事へ移れるか」を考える手がかりにするほうが役に立ちます。
「2030年までに、世界で3億7,500万人が仕事を失う」——そんな見出しを見たことがあるかもしれません。この「3.75億人」という数字は、2017年にマッキンゼー・グローバル・インスティテュートが公表した研究が出どころです。ただし、この数字が意味するのは「3.75億人が失業する」ということではありません。正しくは「職業の種類を変える必要が生じうる人数」です。この記事では、その研究が本当は何を示したのかを、不安を煽らずに整理します。「転換」と「失業」の違いを知っておくと、過度に身構えずに、これからの仕事選びを考えやすくなります。
要点まとめ
- マッキンゼー(2017)の推計では、自動化の進み方によっては、2030年までに世界で最大3億7,500万人(労働力の約14%)が、職業の種類を変える必要が生じうるとされています。
- 「職種を変える」ことと「失業する」ことは別です。3億7,500万人は職種を変える可能性のある人数であって、失業者数ではありません。
- 自動化で一部の仕事は失われるものの、技術は新しい仕事も生み出すため、総雇用は維持されうるとされています(喪失と創出の両面)。
- 数字の大きさに振り回されるより、「自分の仕事のどの作業が自動化され、どんな仕事へ移れるか」を考える手がかりにするほうが役に立ちます。
この調査は何を測ったのか
最初に押さえておきたいのは、この研究が「3.75億人が職を失う」と予言したものではない、という点です。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは、自動化が2030年までの世界の雇用に与える影響を分析し、その中で「どれくらいの人が職業の種類を変える必要が出てくるか」を見積もりました。
ポイントは、見ているのが「失業」ではなく「職種の転換」だという点です。さらにこの研究は、自動化で失われる仕事だけでなく、技術によって新しく生まれる仕事も含めて、雇用全体を論じています。しかも結果は、自動化がどれくらいの速さで進むかという複数のシナリオに基づくものです。ここを押さえると、「3.75億人」という数字を落ち着いて読めます。
「最大3.75億人が職種を変える」とは何だったのか
では、よく引用される「3.75億人」とは具体的に何を指すのでしょうか。研究が示した中身を、出典に帰属して確認します。
客観的データ
マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(2017)の推計では、自動化の進み方によっては、2030年までに世界で最大3億7,500万人(労働力の約14%)が、職業の種類(カテゴリ)を変える必要が生じうるとされています。一方で、自動化によって一部の仕事は失われるものの、技術は新しい仕事も生み出すため、総雇用は維持されうるとされています。また、完全に自動化できる職業は少なく、多くの職業では一部の作業のみが自動化されるとされています。
ただし、これは自動化の進み方に関する複数のシナリオに基づく推計であり、実際の雇用結果を予測・保証するものではありません。「3億7,500万人」は職種を変える可能性のある人数であって、失業者数ではありません。
出典:マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(Jobs lost, jobs gained, 2017)(2026-06-16 確認)
※ 引用した調査・統計は、特定の職業や個人の雇用・収入を保証・予測するものではありません。数値や解釈は出典元の原文と公式情報をご確認ください。
つまり「最大3.75億人」は、「2030年までに職業の種類を変える必要が生じうる人数」であって、「3.75億人が失業する」という予測ではありません。職を失うのではなく、たとえば製造ラインの仕事から別の分野の仕事へ移る、といった「移動」を見込んだ数字です。見出しで切り取られると不安をあおる数字に見えますが、研究の本体は「喪失と創出の両方が起きる」という、もう少しバランスの取れた絵を描いています。
「職種を変える=失業」ではない理由
「3.75億人が職種を変える」と聞くと、その全員が一度仕事を失うように感じてしまいます。しかし研究が描いているのは、そういう絵ではありません。
『職種の転換』と『失業』は同じではない
職業の種類を変えることは、「職を失ったまま」を意味しません。歴史的にも、技術が一部の仕事を減らす一方で、新しい仕事を生み出してきました。この研究も、自動化で失われる仕事と、新しく生まれる仕事の両方を見込み、全体として総雇用は維持されうるとしています。大切なのは、「自分の仕事が丸ごとなくなるか」ではなく、「どの作業が自動化され、どんな隣の仕事へ移っていけそうか」という視点です。なお、完全に自動化できる職業は少なく、多くは一部の作業だけが自動化されるとされています。
自分の仕事についても、「なくなる/なくならない」の二択ではなく、「どの作業が変わりやすく、どんな準備をしておけば移りやすいか」と考えると、過度に不安にならずに次の一歩を描きやすくなります。仕事を「作業の集まり」としてとらえ直す考え方は、別の記事でも整理しています。
この研究を自分のキャリアにどう生かすか
「3.75億人」という数字に身構えるより、研究の考え方を自分の仕事選びに引き寄せるほうが役立ちます。観点として整理してみます。
仕事を見るときの観点
- その仕事は、画面内で完結する定型作業が中心か、それとも現場での確認や対面での対応が必要か
- 自動化されやすい作業と、人が担い続ける作業がどう混ざっているか
- いま身につけている経験から、無理なく移れそうな隣の仕事はどこか
- 資格や法令、安全、手を動かす技術、地域需要が関係しているか
「職種を変える」と聞くと大変そうですが、現在の仕事で得た経験が、すべて無駄になるわけではありません。たとえば対人対応や段取りの経験は、現場系・対人系の仕事でも生きることがあります。今の自分の仕事が定型作業中心だと感じるなら、現場性や対人性のある作業・資格を少しずつ足して、移りやすい選択肢を増やしておくことが、これからの備えになります。すぐに転職する必要はありません。
未経験から現実的に目指しやすい仕事・資格
研究が示す「自動化されにくく、移り先にもなりやすい」という方向性は、本サイトで扱っている、未経験からでも目指しやすい仕事・資格とも重なります。
- 第二種電気工事士(現場での施工・点検)
- 消防設備士(建物の安全に関わる点検・整備)
- 設備管理・ビルメン(建物の電気・空調・給排水などの運用)
- 登録販売者(店頭での接客・医薬品販売)
- 介護職員初任者研修(対人支援の入口)
ただし、どれも「資格を取れば安泰」というものではありません。仕事内容や向き不向き、働き方、必要な費用や学び方は人それぞれ違うため、いくつかの選択肢を並べて比較してから判断するのが現実的です。
Next step
気になる仕事・資格を比較してみる
移り先の候補になりやすい現場・対人の仕事も、向き不向きや学び方はそれぞれ違います。候補を並べて比較してから、自分に合うかを判断しましょう。
情報を確認するときに気をつけたいこと
研究やデータは、これからの仕事を考える手がかりとしてとても役立ちます。ただし、読み方には少し注意が必要です。
- 数字は「何を測ったか」とセットで読みましょう。「3.75億人」は職種を変える可能性のある人数であって、失業者数ではありません。
- 「喪失」と「創出」は両面で見ましょう。自動化で減る仕事と、新しく生まれる仕事の両方があります。
- これは複数シナリオに基づく世界全体の推計です。日本単独や特定の仕事・資格の将来を保証するものではありません。
- 資格や仕事の制度・条件・費用などは、必ず公式情報で最新の内容を確認してください。
「2030年に大量の仕事が消える」といった強い言葉に不安をあおられるより、落ち着いて「どの作業が変わり、どんな仕事へ移れそうか」を見れば、自分に合う選択肢を増やすための材料は十分にあります。
FAQ
よくある質問
Q. 「2030年までに3.75億人」は、それだけの人が失業するということですか?+
A. いいえ。マッキンゼー(2017)の「最大3億7,500万人」は、2030年までに職業の種類を変える必要が生じうる人数であって、失業者数ではありません。研究は、自動化で失われる仕事と新しく生まれる仕事の両方を見込み、総雇用は維持されうるとしています。
Q. 「職種を変える」とは、具体的にどういうことですか?+
A. 同じ職業の中での変化ではなく、職業のカテゴリをまたいで移ることを指します。たとえば自動化されやすい定型作業の仕事から、現場・対人など別の分野の仕事へ移る、といったイメージです。失職したまま、という意味ではありません。
Q. 自動化で、世界全体の仕事は減ってしまうのですか?+
A. この研究は、自動化で一部の仕事が失われる一方、技術が新しい仕事も生み出すため、総雇用は維持されうるとしています。喪失と創出の両面があり、どちらか一方だけを見ると印象が変わってしまう点に注意が必要です。
Q. この研究は日本にも当てはまりますか?+
A. これは複数のシナリオに基づく世界全体の推計です。日本単独や特定の仕事・資格の将来を保証するものではありません。実際の進み方は、国や産業の事情によって変わります。
Q. 結局、これからどんな仕事を選べばよいですか?+
A. 現場での対応・対人・手を動かす技術・資格や法令が関わる要素を複数持つ仕事は、自動化されにくく、移り先の候補にもなりやすいと考えられます。まずは気になる仕事・資格を比較して、向き不向きや学び方を確認することから始めるとよいでしょう。
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